【②義歯治療編】娘の結婚式のために地元の歯科医院に通院しているが、何も進んでいない。(40代女性)
1ヵ月後に控えた娘の結婚式までにどうにかしたい
【患者さんの情報・ご希望等】
- 抜けた歯もあり、1年前から、子ども(娘)の結婚式に間に合わせることを希望して、地元の大きな歯科医院に通院しているが、治療らしい治療は全くしてくれない
- 結婚式が近づいているが、前歯のブリッジも外れてしまい、このままでは結婚式に出られない
- 結婚式まで1ヵ月しかない
- 通院に3時間かかるが、急いで何とかしてほしい
※この患者さんの治療は、段階を踏んで行ったため、以下の3つに分けて詳細を掲載しています。
1ヵ月後の結婚式のため、緊急対応で作製、装着した応急の義歯を使って、無事に結婚式を終えた患者さんでしたが、当初は最低限の治療しか行う時間的余裕がありませんでした。
その後、患者さんはいろいろなご事情で、通院できなくなっていましたが、落ち着いたため、改めて治療をしていきたいと、3年ぶりに来院されました。
応急で作製装着した義歯は、そのままずっと使用できていますが、当初に比べると、ずれやすくなってきたこと、状態が悪くても残した歯に鈍痛が生じてきたことなど、いくつか問題点も出てきている状態でした。
検査と治療計画立案・説明
残っている歯の状態を検査し、使える歯、使えない歯、歯周病や虫歯の治療、歯並びを確認した自然な見た目の義歯治療を、時間をかけて丁寧に行う必要があります。
下顎の歯も、冠が脱落しているものもありますが、抜歯をせずに使えるか、抜歯が必要か、上顎の歯をどのように利用したら、義歯の安定感と審美性を求められるか、レントゲンや歯周病検査、口腔写真撮影、診断用模型作製など、丁寧にお口全体を検査して、治療の計画を立てました。
【上顎】
残っている歯のうち2本を歯根だけ磁石装置に利用し、歯並びも細かく確認しながら丁寧な義歯治療を実施。
【下顎】
外れてしまっている冠の再治療、歯周病治療、歯磨きの見直し指導など
上の内容に沿って計画書を作成し、説明を行いました。歯科医師によっては、古い治療はすべてやり直しを勧める場合があるようですが、萩原歯科医院では、やり直しが必要ないものは、そのまま利用し、必要がある治療だけを行う計画です。歯の寿命のためには、不要な治療を行わないことが何より大事だからです。
通院回数も含めて、当院での治療を希望されるか検討していただく
丁寧な検査を行って、どんな治療をしていくか計画を立てると、およその通院回数と期間が明らかになります。治療をするかどうかには、患者さんの通院の負担もよく検討していただくことが必要です。
通院が負担で途中で来られなくなってしまうと、一番困るのは、患者さんです。萩原歯科医院では、治療計画書を作成して説明しますが、地元で治療したほうが通いやすいかどうか、よく検討していただくことも、全員の患者さんにお願いしています。
「良さそうだったから、お金を払って始めたけれど結局通えなくなってしまい、途中なので、次の歯科医院がなかなか決められない」という相談も少なくありません。萩原歯科医院の治療でなくても、患者さんのお口の状態が良くなるにはどうしたらよいか、を私たちは第一に考えます。
この患者さんの計画を立てたところ、約10回の通院が必要でした。内容や進め方も説明し、「片道3時間の通院も負担だろうから、地元で治療を受けても良いと思う」と伝えました。が、患者さんは「今までの歯科医院は、こんなにきちんと対応してもらえなかった」「別の歯科医院には行くのが怖い」「ここで治したい」と言ってくださいました。
磁石装置を使った機能審美調整義歯と修復治療・歯周病治療
応急の義歯3年後:今回の治療前の状態
上顎には、3年前にとりあえず残した歯が5本ありますが、鈍痛がある歯、虫歯になっている歯、ブリッジがなくなっている歯など、多数の問題がありました。下顎も、冠が脱落したままの歯がそのままになっています。
治療後の上顎
上顎は、状態が良くない前歯は、歯根だけにして磁石装置に利用し、奥の金属の冠の歯は、やり直しの必要が無いため、古い治療のまま、金属のバネをかけました。
治療前後の下顎
下顎は、脱落して冠がなくなっている歯の修復治療をしました。
治療前後の口元の状態
患者さんは、遠方からの通院にもかかわらず、予約通りに来院され、今までにない良好な口腔状況と口元の見え方を回復できたと、とても喜んでくださいました。
今までの歯科医院では、治療をするだけで、その後、良い状態を維持する歯磨き指導やメンテナンスの話は無かったとのことでした。
自分の歯の維持と、せっかく治した治療の維持のためには、メンテナンスが重要であることもよく理解してくれて、家庭での口腔ケアに気を配り、定期的なメンテナンスにも通ってきてくださっています。
義歯や他の治療はもちろん、自分の歯にも問題は生じていません。定期健診を続けながら、自分の歯を長く持たせ、義歯も長く持つように維持していましたが、ある日、住んでいる市の歯科検診を受けたことで、思わぬ問題が生じました。
その話については下記よりご覧いただけます。
第三段階→【③地元の歯科検診で不安に…編へ>>】