インプラントしかないと歯科で言われたら|入れ歯専門の歯科医院|東京池袋の萩原歯科医院

新型コロナウイルスへの感染対策について(個室診療+待ち時間ゼロ)

「もうダメだ」なんてありません

  • 家族友人にも誰にも相談できなかった
  • 毎晩どうしようと悩み続けていました
  • こんな悪い状態でも治るのか心配です

東京都豊島区南池袋2丁目26-4-2階池袋駅3分

入れ歯のご相談にも治療にも1回1時間以上かけますのでご予約の際はご注意ください

歯科医が個室で相談を受ける無料相談実施中

0120-185-255

インプラントしかないと歯科で言われたら

このページの目次

「本当にインプラントしかないの?」増えている歯科インプラント相談

サンプルイメージ

歯がダメになった、ブリッジがはずれた、どうしよう、悩んで、悩んで、思い切って相談に行った歯科医院で、このようなことを歯科医師から言われ、途方に暮れている患者さんたちが今日も、当院に相談にいらっしゃいます。多くの相談の中で、最近増えてきているのが歯科医師から「インプラントしかないね」「早めに抜いてインプラントにした方が良い」と言われたという相談です。

また、それと一緒に

とも言われて、途方に暮れて相談に訪れる方も多くいらっしゃいます。

本当に入れ歯はムリでインプラントしかないの?そんなことはありません。

歯科医師が言う「インプラントしかない」と言う本当の意味とは?

インプラント「インプラントしかない」・・・

本当にそうでしょうか?
インプラント以外の治療はできないのでしょうか?ダメなのでしょうか?

当院の答えは「いいえ」です。
私たちは、どんなケースでも、入れ歯治療ができないことはないと思っています。取り外しが絶対に嫌だと思っている方や、嘔吐反射が強くて入れ歯に慣れるまでに時間がかかる方など、入れ歯以外の治療法を選ぶ人もいらっしゃいます。しかし、インプラントしかできないという症例はないと思います。

患者さんが歯科医師から「インプラントしかないね」と言われた場合、その言葉はインプラントしかできないという意味ではなく、(歯科医師が)インプラントの方が良いと思う、という意味で言っていることが多いのではないかと、私たちは考えています。

インプラントは悪い治療ではありません

私たちは、インプラントが悪いと言っているわけではありません。むしろインプラントの方が良いと思われるケースもあると思っています。
患者さんの状況によっては、

などと、抜けている歯の位置や本数、残っている歯の状態、患者さんの仕事や年齢などによっては、入れ歯でなくインプラントを勧める場合もあります。現に当院でも30年以上、インプラント治療も手掛けてきており、多くの患者さんがインプラントで快適なお口の健康を取り戻していらっしゃいます。

しかし、これまでの経験から「インプラントしかない(インプラントしかできない)」というケースはほとんどないと思っています。このページでは、インプラントが良いか、入れ歯が良いか、できるだけ学会や論文などの根拠を示しつつ、私たちの今までの治療経験と、治療後の患者さんの経過を長く見てきた視点も加えてまとめてみたいと思います。

歯を失った場合の治療法について

歯を失った場合の治療法

まず、歯を失った場合の治療法について説明します。歯を失った場合の治療法は、インプラント・入れ歯・ブリッジというよく知られた3つの治療方法があります。さらに、それ以外の方法として歯の移植や(失った歯の部位によって極めて限定的ですが)抜けたままにするという考え方も北欧を中心として、出てきているところです。

代表的な治療方法(インプラント・入れ歯・ブリッジ)について

▼インプラント

サンプルイメージ

歯が抜けた部分の顎骨にインプラントという人工の根を埋め、それを失った歯根の代わりとして利用。上部に人工歯を取り付け、咬み合わせを回復する治療法です。

▼入れ歯

サンプルイメージ

取り外し可能な義歯(可撤式義歯)。一般に「入れ歯」と言われている治療です。天然歯が残っている場合には、歯に維持装置と言う入れ歯を支える装置を使用して、咬み合わせを補う治療法です。

▼ブリッジ(固定式義歯)

サンプルイメージ

歯を失った部位の両隣の歯を削って、そこを土台として橋を架けるような一塊に繋がったブリッジ(被せ物)を作製。そのブリッジをセメントで合着して、咬み合わせを回復する治療法です。

その他の治療法について

歯の移植

自分の歯で咬み合わせに利用していない不要な歯(親しらずなど)を、歯が抜けたところに移植して咬み合わせを回復する治療法です。(※歯の移植は、いくつかの条件が必要となる稀な方法です。)

抜けたまま経過観察

抜けた歯の本数と位置にもよりますが、慌てて義歯やインプラントをしないで経過を見ていくという方法です。これは北欧を中心として出てきた考え方で、歯の欠損、とくに後方の大臼歯だけを欠損した場合、無くなった歯の補綴(人工物で歯の機能を補う)はしないで良いのではないかというものです。

これについては、とくにオランダのKaeyserらが1981年以来、「短縮歯列」(shortened dental archSDA)の概念を提唱してきました。この「短縮歯列」の概念とは、少なくとも小臼歯部の咬合接触が存在する両側ないし片側の大臼歯2歯欠損程度の場合、その欠損を放置しても下顎の咬合支持には影響が少なく、下顎位の保持などの顎口腔機能には問題がないとする考え方です。

※この治療法に関しては、下記の日本補綴学会誌の論文にもある通り「短縮歯列」で長期間過ごしてきた患者さんの中には、顎関節に異常を生じたケースも紹介しつつ、歯列の欠損に対する評価は個人差が大きいこと、奥歯が1本無くてもすべての歯が揃っている人よりも咀嚼時間が短くて済んでいる人もいることも紹介しています。そのうえで、失った歯を治療で回復するかどうか、個別に患者さんに対して丁寧に、咀嚼、発語、外観の回復、感覚の回復、齲蝕、歯周病、顎堤吸収、顎関節への影響を見極め、患者さん中心に治療方針を決めていく必要があると述べています。

【論文】欠損歯列における咬合支持と短縮歯列の考え-その運用と限界-

日本補綴歯科学会雑誌/47 巻 (2003) 5 号/書誌
五十嵐 順正, 山下 秀一郎, 藤牧 伸成, 丸山 雄介, 桐原 孝尚

論文を見る>>

入れ歯の欠点は良く聞くけど・・・インプラントの欠点はないの?

担当の歯科医師から入れ歯のデメリットを聞いたり、インターネットで入れ歯の欠点を見たと言う方は多いのではないでしょうか?そのため、入れ歯は噛みにくいのではないか、外れやすいのではないか、違和感が大きいのではないか、と色々な不安や入れ歯に関してネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃると思います。

丁寧に行う入れ歯治療しかし、私たちは細かい治療ステップを踏んで丁寧に行う入れ歯治療であれば、欠点を限りなく少なくできると思っています。

入れ歯については、本サイトの別のページに詳しく記載していますので、参照してください。

当院の総入れ歯治療はこちら>>

当院の部分入れ歯治療はこちら>>

では、インプラントには欠点はないのでしょうか?

以下では、インプラント治療について不安や心配に思っている方のために、インプラント治療の実状はどうなのか、巷で言われているように万能の治療なのか、長くもつ治療なのか、などインプラントについての特徴をまとめていきたいと思います。

インプラントのメリット・デメリットについて

公益社団法人日本口腔インプラント学会のサイト等の記載を基にしながら、インプラントのメリット・デメリットについてご説明致します。
また、日本口腔インプラント学会は一般の方向けにインプラントについて分かりやすく説明していますので、インプラント治療について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

教えて、インプラント治療ってなに>>

▼(※教えて、インプラント治療ってなに:インプラントのメリット・デメリットを参考)

インプラントのメリット

インプラント治療が他の治療に比べて何より素晴らしい点は、義歯をしっかり固定できることと残っている歯を削ったり、残っている歯に義歯を安定させるための装置を付けたりしないで自立できることです。残っている歯への負担が少ないことも、インプラント治療の利点です。

なども、公益社団法人日本口腔インプラント学会のサイトに記載がある通りで、素晴らしい治療法です。しかし、インプラントにデメリットが無いわけではありません。多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

インプラントのデメリット

上記のデメリットは、多くの方にもよく知られていることでしょう。しかし、この他にも「教えて、インプラント治療ってなに」のサイトにも記載があるように

といったデメリットが実はとても重要なことであることを、インプラントのトラブルで多くの相談を受けて来た私たちは、日々実感しています。

一生もつ歯科治療はあるのでしょうか?

一生もつ歯科治療はあるのでしょうか?

当院では多くの患者さんが、治療後に長期にわたって健康な状態を維持されていますが、全くトラブルがないわけではありません。私たちがどんなに素晴らしい治療ができても、その後患者さんが徹底的な口腔ケアとメインテナンスに協力してくれても、必ずしも全員がトラブルなく過ごせる保証はありません。それは当院だけに限らず、どの歯科医院も同じです。治療を受けた全員が、トラブルなく一生を過ごせることはないと思います。

歯にかかる負担:1日3回の食事で1年間に約68万回噛んでいる

農林水産省のサイト「みんなの食育 ゆっくり食べる」のページには、以下のような記載があります。

1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告によると、戦前の食事は1420回噛み、約22分だったのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数、食事時間とも半分に減っています。」

1日に食事を3回取ると考えると、1年間では1,095回の食事をします。食事の際に噛む回数が戦前より減ったとはいえ、

620回(咀嚼回数/1回の食事)×1,095回(年間の食事回数)=678900回

私達は1年間で約68万回も咀嚼を行っているということになります。つまり、それだけ歯に負担かかっているということにもなります。すべての歯が均等に1年間68万回の力を受けているわけではないものの、歯は常に過酷な仕事をさせられているわけです。このように日々の生活の中にも、小さなトラブルの素が存在していることが分かっていただけると思います。※特に補綴治療(人工物で歯の機能を補う治療)を行った歯の健康状態には、咬合力などが大きく影響します。

「100%の成功ではありません」(日本口腔インプラント学会HPより)

▼日本口腔インプラント学会のサイトより抜粋

「最近では10年間持ったインプラントが95%あったという報告(文献:Albrektsson T, Donos N:Implant survival and complications The Third EAO consensus conference 2012; COIR, 23(suppl6),63-65,2012.)もあります。しかし100%の成功ではありません。インプラントに取り付けたかぶせ物や入れ歯が壊れることもあります。いずれも治療が終ったあとのメインテナンスをしっかりしないと長持ちしません。」

インプラントが10年間で95%持ったということは、先ほどの計算から10年間で約680万回の咀嚼が行われても、インプラントは95%持ったという報告です。そこからは、インプラントが素晴らしい成功率の治療法であることが読み取れます。が、「しかし100%の成功ではありません。」「インプラントに取り付けたかぶせ物や入れ歯が壊れることもあります。」と続いています。

多くの方のインプラント治療は成功していることは間違いありません。しかし、丁寧に行ったインプラント治療であっても、壊れる、揺れてくる、抜け落ちるなどの可能性が少なからず存在するのです。

実際、インプラントがだめになった方のご相談も多いのです

残念ながら高額のインプラント治療であっても、治療後のトラブルで当院に相談に来院される方が少なくないことも実情です。

インプラント治療後の相談

相談として多いのは、インプラントを勧められてインプラントを入れたものの、骨に埋めたインプラントがぐらぐらして抜けてしまったというケースです。

トラブルが起きてから、インプラントは一生もたない物だと、知った患者さんが大勢いらっしゃいます。

そんな中、私たちは自分がどんなにしっかりと治療をしたとしても、人間が行った治療、広くは人間が作った物は、例えどんなに頑丈であろうといつかは必ず壊れるという謙虚さ持ち、治療を計画しなければならないと考えています。

もし壊れたら、どうするかを考えておかなくて良いのだろうか?

全員の方に、一生何もトラブルが起きない完全な治療を行うことは、インプラントだけに限らず、どの歯科治療でもあり得ないと思います。特にインプラント治療は、トラブルが起きた場合に関係してくるデメリットが重大であるため、もし壊れたらどうするのか?トラブルが起きた場合にどう対処するのか?をしっかり考えることが重要です。

▼トラブルが起きた場合に関係してくる重大デメリット(日本口腔インプラント学会のHPより)

  • 他の歯が抜けて義歯を入れる場合、インプラントに不用意にフックをかけるとインプラントにダメージが加わることがあるため、義歯のデザインが制限されることがある。
  • お手入れ次第で感染することがある。

将来適切なお手入れができなくなる可能性もある

「お手入れ次第で感染することがある」というデメリット・・・

これは、インプラント治療で最も重要なところです。「インプラントは骨とは強くつきますが、粘膜とはあまり強くつかないため、天然の歯に比べ感染に弱いこと」というデメリットのために、インプラントは一度感染すると、炎症を止めることは難しく、インプラントを支える骨が炎症によって少なくなり、インプラントが揺れてきたり、時には抜け落ちたりする場合もあります。

治療当時はインプラントのお手入れがしっかりできていた方も、高齢になったり、病気や怪我をして入院や手を動かしにくくなったり、などの色々な条件や環境の変化で当たり前にできていたことができなくなる可能性もあるのです。現在だけでなく、将来を見据えた治療の選択が大切です。

高齢化とインプラント治療の課題

高齢化とインプラント治療

人は誰でも一年一年、老いていきます。色々な身体的条件、環境が治療を受けた時と同じ条件であり続けることは不可能です。現在、様々なところで問題になっている高齢化は、インプラント治療にとって、リスクとして検討しなければならない重要な課題です。

高齢になって通院やセルフケアができなくなるリスク

十分にお手入れができていた方でも、高齢になるにつれてお手入れができなくなったり、通院も億劫になったり、通院そのものができなくなったりすることが少なくありません。

【論文】特集 要介護高齢期を見据えた歯科インプラント治療

市川哲雄, 岩脇有軌, 石田雄一, 渡邉恵 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野 歯界展望 132(2): 249-277, 2018.

上記論文では、インプラント治療は、それによってお口の機能をしっかり維持できる、間違いなく良い治療法の一つであることを明記しつつ、加齢によって起きてくるいくつかの問題点も指摘しています。

①通院やインプラントのセルフケアができなくなる

まず、高齢になることでセルフケアが困難になることと、施設入所や寝たきりになって歯科医院への通院が困難になる問題点が指摘されています。同論文には、「歯科訪問診療で、インプラント患者のうち、セルフケアができないのは56%。インプラントのトラブルとして清掃困難が47%、39%にはインプラント周囲炎があった」との報告もありました。

さらに、「訪問診療では他院で行われたインプラントに問題が生じた場合、使用されたインプラントのシステムが分からないことや、患者の認知機能の低下により、施術した歯科医院さえ不明であることも少なくないために、根本的な問題を解決することは困難となり、対症療法的な処置を行うしかない」という報告もありました。訪問歯科を受けている患者さんのインプラント治療の問題点は、これからますます増えていくと思われます。治療計画を立てる時点で、高齢化も含めた問題を重く受け止めなければならないと思います。

②全身的併発症・合併症の増加や口を開けることが困難な場合も

平成28年度国民生活基礎調査によると、高齢者1,000人のうち、446人は疾病や外傷による自覚症状を訴え、1,000人中686.8人は医療機関に通院しているとのことです。

脳卒中などによる咀嚼筋の拘縮・口を開けることが困難になる場合もあります。また、高齢者においては疾患、併発症、合併症などの経過も含め、十分に注意しながら治療計画をたてる必要があり、患者さんの様々なリスクを低く見積もりすぎないようにすることを訴えています。

③認知機能が低下すると、歯科医院への通院が困難になりやすい

認知症患者数は2012年に462万人(高齢者7人に1人)であったが、2025年には約700万人(高齢者5人に1人)になると見込まれているそうです(内閣府 2017年)。

論文では認知機能の低下で、通院が困難になるだけでなく、自宅でのセルフケアはもとより、介護者によるブラッシングに対しても口を開けないなどの拒否行為も見られるようになるリスクも報告しています。さらに、口臭・齲蝕・歯周炎・インプラント周囲炎・残存歯やインプラントによる咬傷などの可能性も高くなることから、認知機能が低下した患者さんには新たなインプラント治療は控えるべきであるとも述べられています。

④高齢化による経済的な問題

高齢になって、セルフケアが困難になった場合、インプラントから清掃しやすい入れ歯タイプへ設計変更していく対応策は一つの良い方法です。しかし、平成28年における65歳以上の高齢者人口3,461万人のうち、56.7%は公的年金などの社会保障のみでの生活をしている統計があります。

そのため、自費でインプラント治療を受けた場合も、いずれセルフケアが困難となり、義歯タイプへ設計変更する時期に経済的な問題がおきる可能性があることを論文では注視しています。「現在、インプラントが行えるかどうかだけでなく、将来的に設計変更ができる経済的な余裕があるかも考慮して治療計画を立案し、インフォームドコンセント(十分な情報提供を行った上での合意)を得て、患者が納得できるインプラント治療を行う必要があると考える。」と述べられています。

高齢要介護まで見据えたインプラント治療計画を

論文では「これまでのインプラント治療は、インプラントをどこに埋入すべきか、そのために骨があるかを考えることに主眼が置かれたきた。」ことの問題が指摘されています。今の困っていること、例えば噛めないことを改善するということやインプラント手術に耐えられるかどうかという全身的な条件は、治療をする時点だけの問題です。

高齢要介護まで見据えたインプラント治療計画それでは長期的な予後、高齢期から終末期まで、インプラントをどう維持できるかという視点が欠けています。

問題は絶対に起きないとは言い切れません。もしも、問題が起きた時にどう対応できるかと予測して、治療法を考えていくことが重要になってきます。まさに、私たち萩原歯科医院が最も重視しているところです。

治療には必ずベネフィット(利益)とリスクがある

どんな治療や薬にも、その効果と副作用、ベネフィット(利益)とリスクがあります。ですから、インプラントができるかどうかだけでなく、将来どうなるリスクがあるかを検討しながら、治療法を選択していかなければなりません。

修理対応から見たインプラントの注意点

インプラントは、患者さんの慣れをほとんど必要とせずに快適に噛めるなど、他の治療に比べて圧倒的なベネフィットがあります。しかし、修理対応が困難であることや、除去が難しいという特徴もあり、何らかの問題を起こした時に患者さんの負担が大きくなるというリスクも持ち合わせています。

前出したインプラントのデメリットとして「他の歯が抜けて義歯を入れる場合、インプラントに不用意にフックをかけるとインプラントにダメージが加わることがあるため、義歯のデザインが制限されることがある」という記載がありました。つまり、インプラント以外の歯が悪くなって、入れ歯を使わなければならなくなったとき、インプラントに入れ歯のバネなどをかけると、インプラントが悪くなる可能性があるということです。

この観点から見ていくと、ただインプラント治療をするだけでなく、他の歯の状況が今後悪くなっていきそうな場合には、口腔全体の将来を考えた設計と治療計画が必要なことは明らかです。さらに、患者さんが高齢になったり、口腔清掃が困難になったりした場合の対応も合わせて検討していかなければなりませんし、治療後にどんなリスクが起こりうるか患者さんに丁寧に説明をして治療方法を選択しなければなりません。トラブルが起きてから、治療方法について後悔することが無いように、広い視野、長期的視野を持つことが必要です。

修理対応を踏まえた上で入れ歯治療を選択することも

入れ歯治療を選択

入れ歯は、インプラントに比べると、噛む力など機能面での確実性が低くなりがちな治療法です。装着後、慣れるまでに少し時間がかかり、患者さんには使用法や手入れの方法などの協力も必要な治療です。しかしその一方で、修理も口腔ケアも対応が簡単な治療法でもあります。

高齢者介護施設に入所時に、歯がある方は歯が無い方より歯科のトラブルが多いという報告もあります。それは、ご自身の歯がない方は入れ歯などを使用していることが多く、セルフケアが難しくなった場合に、入れ歯を外して介護者が清潔にお手入れできるという理由からです。

入れ歯は初めて装着する年齢が高齢の場合、患者さんになかなか受け入れてもらいにくいということも経験することがあります。そのため当院では近い将来、高い確率で入れ歯になりそうな患者さんには、入れ歯を受け入れやすい年齢のうちに思い切って入れ歯に踏み切るという方針も、選択肢の一つとして示す場合もあります。

人生100年時代を考慮した治療を考える

人生100年時代を考慮した治療

インプラント治療を終了している患者さんも、これからインプラント治療を考えている患者さんも、インプラントが出来るかどうかだけでなく、これからの生活や、長期的な予後を考えあわせて、治療計画を立てることが大切ではないでしょうか。

遠方の親類のいる土地への転居もあるかもしれません。施設への入所もあるかもしれません。治療を受けた歯科医院に通院できなくなって管理が出来なくなった時のことを考えると、機能的に優れた治療としてのインプラント治療の選択が、必ずしも最良ではない場合もあります。

などに対しての配慮も重要になってくると思います。

本当のところ、インプラントが良いのか?入れ歯が良いのか?

ここまで、良く噛めるかどうか、インプラントが入るかどうか、などの現時点での問題だけでなく、歯科治療がトラブルを起こした場合を想定する治療計画の重要性、将来を見据えた治療方針を検討することの必要性を考えてきました。それでは実際に、どんな症例にインプラントが良いのでしょうか?どんな症例には入れ歯が良いのでしょうか?

丁寧に患者さんの希望を聞き取ることと精密検査による診断の必要性

インプラントが良いか、入れ歯が良いかの問題は簡単ではありません。

長期にわたって良い状況を保つためには、失った歯の位置や歯の数、骨の状況だけでなく、残っている歯が今後、問題を起こす可能性が高いかどうかなど、いくつもの視点から検討していくことが重要です。もちろん、全身状況、喫煙歴、年齢、生活状況、口腔ケア状況、歯周病の状況、メインテナンスに来院が可能かどうか、なども検討しなければなりません。それぞれの患者さんの状況は一人として同じではありませんし、そして、患者さんが何を希望されているか、ということも一人ひとり同じではありません。丁寧に患者さんの希望を聞き取ることと精密検査による診断が非常に重要になります。
(相談と精密検査については、当院の以下ページを参照下さい)

入れ歯治療の流れページへ>>

将来、後悔しない治療を選定する

もちろん、インプラントを希望されても少なくなった骨を増やすことが難しいケースや全身状況などにより、インプラントが出来ない場合もあります。しかし、多くの方がインプラントは出来るが、入れ歯とどちらが良いかで悩んでいるのではないでしょうか。

私たち歯科医師は患者さんが何を強く望んでいるか、相談を重ね、インプラントと入れ歯のメリット・デメリットを説明していく中で、患者さんご自身が自分の希望や価値観を改めて見極めていく過程を目の当たりにすることがしばしばあります。インプラントが良いと思っていた患者さんが、将来の修理対応の負担の説明を受けて、入れ歯を検討していくようになる場合もありますし、将来の修理の問題は理解したうえで、仕事柄、どうしてもインプラントを希望したいという場合もあります。

当院の相談、検査後の説明の時間は、患者さんご自身が何を大事に思い、治療後の生活の中でどのようなことを重視していきたいか、一緒に考える時間でもあります。その過程が、ご自身が選び取った治療を、将来後悔しないことにつながると思います。

インプラントor入れ歯 あなたに適した治療法とは?

インプラントが良いか、入れ歯が良いか、参考までに大まかなチャートを作成してみました。

この問題は口腔内の状況によって、年齢、生活、全身状況など様々な観点から考えるため、ひとくくりにまとめることは出来ません。個別の相談、検査、診断、説明が必要で、チャートだけでは解決できません。あくまでも一つの参考にしていただければと思います。

インプラントを希望している場合

▼クリックで拡大

インプラントを希望している場合のチャート

義歯かインプラントかで悩んでいる場合

▼クリックで拡大

義歯かインプラントかで悩んでいる場合のチャート

最近インプラント治療の相談が増えています~入れ歯かインプラントか~

残された歯を守る

インプラント治療は、確かにすばらしい方法であり、当院でも25年以上前、とても早い時期からインプラント講習会に参加し始め、入れ歯治療とともに、多くの患者さんにインプラント治療も行ってきました。しかし、すべての症例にとってインプラントが最良の治療方法ではない、と私は考えています。実際に長期間にわたってインプラント治療も入れ歯治療も行ってきて、メンテナンスを行いながらそれぞれの長期の経過をみてきたから、そしてまた長年にわたり、2000人を超える多くの方の悩みの相談を受けてきたからこそ、入れ歯にするかインプラントにするか、治療方法の選択には、様々な要因を考慮しなければいけないとの思いが、近年ますます強くなっています。そして、多くの歯科医院で、インプラント治療が普通に提案され、一般に浸透してきたこの数年、インプラント治療や、その治療後について、相談件数がさらに増えてきました。

インプラントは素晴らしい治療ですが…

インプラント治療は素晴らしい治療法であり、成功率もかなり高く、多くの患者さんがインプラントによって快適な生活を取り戻しています。一般に、上顎のインプラントの成功率は90%、下顎の成功率は95%と言われて、その成功率はかなり高いものと言えます。その一方で、インプラント治療を長期的に良好に保つためには、歯科医師の技術や経験はもちろんのこと、患者さんの顎の骨の状況、全身状態、喫煙歴、歯周病、メンテナンスに通院できるかどうか、口腔ケアの状況、年齢など、様々な要因が関わってくることも事実です。

100%はどこにもない

つまり、どんな治療にも言えることですが、様々な要因によって成功率は左右されてしまうものであり、インプラントにすれば、全ての症例が長期間にわたって100%成功するというわけではありません。さらに、歯科治療すべてに言えることだと思いますが、すべての治療が一度治せば絶対に壊れないということにはならず、インプラントでもそれは同じことだと心にとめて治療法を選ぶ必要があると私は考えています。インプラントは素晴らしい治療法で、私も自分の家族や親類に(インプラント向きのケースであれば)インプラントを勧め実際に埋入していますが、インプラントがすべての症例で最良であるとは考えていません。インプラント治療を選択する場合は、インプラントの素晴らしい恩恵の一方で、再治療になった場合の治療負担の大きさや、症例によっては再治療が難しくなることなど、将来ダメになった時の対処法について、他の治療よりも慎重に考えることが大切だと考えています。

インプラント治療の失敗例に学ぶ

それでは、インプラント治療の失敗とは何でしょうか?インプラント治療は外科的な処置になるため、一般の外科処置と同じように処置後の問題が起きる可能性はゼロではありません。インプラントに特徴的な失敗として、ずっと以前はインプラントが折れて骨の内部に埋入したインプラントの本体だけが残され、その除去に大きな処置が必要になったということがありました。

治療の失敗例

青い線から白線まで炎症によって周りの骨が失われて、インプラントが不安定。

治療の失敗例

他院にて埋入後、抜け落ちたインプラントを持参して当院を受診。

治療の失敗例

真ん中のインプラントのみ元の青い線から白い線まで骨が失われている。

治療の失敗例

やはり他院で埋入したインプラントがぐらぐらで来院。簡単につまんで取れた。

しかし、最近のインプラントの場合は、形状や術式、治療前の診断などの進化により、除去ができずに大変な思いをしたということはほとんどなくなってきていると思います。負担の少ない除去用の器具機材も開発されています。 その一方で、周囲の粘膜が炎症を起こしたり、埋入後のインプラントがぐらぐらして取れてしまったり、インプラントの上に作った補綴物が破損したり、といった相談はインプラントや術式の改良が進んできても、残念ながら減っていません。もちろん、しっかりとしたメンテナンスを行いながら、早めにトラブルを見極めて対処したり、場合によっては周囲の骨の喪失が起こる前に早めにインプラントを一度除去して再度埋入する、などの対処が適切に行われている歯科医院も少なくないと思います。 しかし、いろいろな要因で対応が遅れて、周囲の骨の喪失が大きくなり、再度の埋入が困難になるケースも出てきています。歯科医師によっては、他の部位から骨を移植して、インプラントを再度埋入する方法を取ることもあるかもしれませんが、そうした大がかりな治療は受けたくない方や、長期的なリスクが心配な方、もうインプラント以外の方法で治療をしていきたいという方も大勢いらっしゃいます。

3つのインプラント失敗相談

治療の失敗例

失敗後の相談は、このように3つのタイプに分かれます。

インプラントか…入れ歯か…

当院でも、インプラントが最良、というケースでは、患者さんにメリットと将来的なリスクを説明して、インプラント治療を提案することは少なくありません。しかし、インプラント治療を行う場合は、インプラント治療を行う箇所以外の歯の状況も考えていくことが大変重要です。

治すべき治療部位だけの問題ではなく他の歯も問題を抱えている場合は、将来的に次々とインプラントの本数が増える可能性が出てきます。

他の歯が使えなくなった時に大がかりな再治療が必要になるようなお口の状況の方も、長期的観点からインプラントだけで考えるのではなく、入れ歯治療との比較検討が必要です。インプラントでも、入れ歯でも、「治療を行うことは可能」、な場合が多いのですが、どの方法が長期的に良好な状態を維持できるのか、将来起こりそうなリスクは、ダメになった時にはどうするか、など、検討すべきことがたくさんあります。

最終的には、患者さんが、何を大事にしたいか、今後の生活スタイルをどうしたいか、仕事や生活上どうしても譲れない点、5年10年20年後の生活環境、といったことなどから、治療法を選択していくことになりますが、他の歯が悪くなる可能性が高いのかどうか、そして、もしも他の歯を抜歯することになった時に取れる対応方法は何か、などをしっかりと説明し、歯科医師が患者さんと共に考えていくことが、インプラントか入れ歯か治療法を選択する重要な観点だと思います。

インプラントの力、そして、インプラントの限界

インプラントは、他の歯に頼らずに自立できる、という点が、他の治療に比べて大きなメリットです。さらに、審美性、咀嚼効率、違和感の少なさ、なども大きなメリットです。しかし、埋入する骨の状況、全身状況、メンテナンスに通える体力や環境、インプラント以外の歯の状況、などによって、必ずしも最良の方法ではないと思われる場合もあります。

他の歯がダメになり、次々にインプラントが増えるということもあります。他の歯を抜くことになった場合、大がかりな治療のやり直しが必要になることもあります。

もちろん、入れ歯にはインプラントに劣る点もありますので、患者さんの状況、希望により、何が患者さんにとって最良か、細かく検討することが重要です。

インプラントができなくなった場合は・・

インプラント周囲の骨の喪失などにより、再度のインプラント治療が難しくなった場合、入れ歯による治療を行うことを検討します。入れ歯で噛めるのだろうか、話をしていて落ちないのだろうか、違和感はどれくらい続くのだろうか、など、いろいろ心配されている方は少なくないと思います。しかし、治療前の検査を行い、長期的な修理も考慮した設計を行い、丁寧に手順を追って治療を進めることで、良好な結果を得ることが可能になってきます。なにより、入れ歯は、修理を考慮した形態での作製をすれば、インプラントに比べて、何かあった時に修理の対応がしやすくなり、長期の負担や不安が少ないというメリットがあります。

ある患者さんは言います。「インプラントの時は、いつか取れてしまうのではないか、といつも不安がありましたが、入れ歯になって、その心配が無くなったのが、何より安心です。入れ歯の弱点を補って余りあるメリットです。」

東京都池袋駅前にて当院副院長が対応する無料相談をぜひご利用下さい

副院長が対応する無料相談

一般には、入れ歯についてのイメージはあまり良くないようです。例えば、部分入れ歯のバネが見えて見た目が良くない、はずれやすい、話しにくい、噛みにくい、違和感がある、入れ歯を使っていることでなんとなく老けたように感じる、などのイメージがあるようです。
確かにインプラントやブリッジに比べると、物を噛み砕く力が小さくなることや、取り外しの煩わしさ、ある程度の話しにくさなどはあるかもしれません。しかし、頬の張りの回復や歯並びの調整などは、入れ歯の方がインプラントに比べて格段に調整がしやすい場合も多くあります。そして、骨の量や、全身状況などに影響をされずに、どんな患者さんにも対応ができる治療です。

副院長が対応する無料相談インプラントのような外科手術をしないで済むことも患者さんが受け入れやすい治療の特徴です。何より、壊れたり不具合が生じたりした場合や、残りの歯がダメになって抜歯になった際に、患者さんの負担がとても少なく修理がしやすいことは他の治療法に無い素晴らしい長所です。耐久性とともに、何かトラブルが起きた時の対応のしやすさや、将来の患者さんの負担という観点も加えて治療法を考えると、今までと違った入れ歯治療の見え方も出てくるのではないでしょうか?

何度も繰り返しになりますが、どんな治療法が最良かは一人ひとりで全く違います。最近ではインターネットに多くの情報が溢れていることから、インターネットを調べすぎて、かえって混乱してしまったという患者さんも多く訪れます。歯科衛生士やトリートメントコーディネーターなどインプラントや入れ歯の教育も受けず、治療も行っていない担当者の相談対応で、正確な説明を受けられないことから不安を抱えて相談に来られる方もいます。歯科衛生士は予防や歯周病の勉強はしていますが、入れ歯やインプラントの説明は実際に治療を行っていないだけに、十分では無いと私たちは考えています。ましてや、歯科教育を受けていない国家資格の無いスタッフがトリートメントコーディネーターとして説明をしてくれたとしても、私が患者だったらとても納得ができません。

副院長が対応する無料相談

萩原歯科医院(東京都池袋駅前)では患者さんに真摯に向き合うために、副院長の萩原麗子歯科医師がすべての患者さんの相談、説明に対応致します。インプラント治療は素晴らしい治療ですが、リスクもあります。また、入れ歯治療にもデメリットはあります。両方をよく比較検討して、治療法を選択することをお勧めします。インプラントと入れ歯治療について、お悩みの場合には萩原歯科医院の相談、検査をどうぞご利用ください。その際には、広い視野・長期的な視野で真に患者さんのための治療法をご提案致します。患者さん自身が主体的に、ご自分の治療を選びとることが、良質の歯科治療を受けるために必要なことです。

トップへ戻る