【④特別編】2年前ブリッジが取れたが体調が悪くて治療に行けず、どんどん状態が悪くなった。(40代女性)
(特別編)治療後の良い状態を維持
●この患者さんが、義歯を装着したとたん、「わぁ、四角だった顔がきれいになった」と、とても喜ばれたこと
●応急の義歯を装着した帰り際、涙を浮かべながら「ずっと濡れなかった口紅を買って帰ります」と、おっしゃったこと
歯科医師として、何より嬉しく思いました。と同時に、今まで患者さんがどれだけ悩んでこられたか、困っていたか、なぜもっと早く、この悩みをなくすことができなかったのか・・・と、いたたまれない気持ちになりました。
そしてまた、なぜ、こんなに悪くなるまで、歯科医師が何もできなかったのか、自分では手に負えないケースなら、なぜ他の歯科医院に紹介をしなかったのか、とても残念な気持ちにもなりました。
実は、こういう思いはいつも抱いています。
患者さんは、治療後、欠かさず定期健診に来院され、当院の口腔ケア指導の通りに歯磨きをしてくださって、まったく悪くなっていません。患者さんが、歯を失ってきたのは、今まで多くの歯科治療を受けてきたにも関わらず、歯科医院で、なぜ自分は虫歯になるのか、なぜ歯周病になるのか、どうしたら歯を悪くしないで過ごしていけるか、治療を長持ちできるか、まったく指導がなかったことも大きな要因と思われます。
「良く磨いてくださいね。」と言われたことはあるけれど、どこをどう磨くか、どうやって歯ブラシを当てたらよいか、なぜ歯磨きが大事か、一度も聞いたことが無いというのです。
まったく歯磨きをしない人はいません。自分なりに一生懸命磨いているのに、磨いている場所が効果的ではないところばかりなために、悪くなってしまうのです。
当院では、1本でも歯が残っている患者さんには、自分の歯を悪くしないようにし、せっかく治した治療を長く維持させるように、丁寧に口腔ケア(歯磨きの仕方)の指導を行います。
この患者さんも、手を持って歯ブラシを一緒に動かしながら、丁寧に歯磨き指導をさせていただいたところ、特に長い時間を歯磨きにかけているわけではありませんが、治療を終えてからお口の状態は全く悪くなっていません。
歯を治すことは、もちろん大事です。しかし、歯を悪くしないこと、治療を長持ちさせることの方が、その何百倍も大事だと私たちは思っています。